横浜ゴムは、LED(発光ダイオード)用のシリコーン系封止材で、耐湿性に優れる「YSH-700」シリーズを開発したと発表した。「YSH-700」は、半導体技術協会(JEDEC)のMSL規格(Moisture Sensitivity Level:水分感度レベル)で上位ランクに相当する性能を達成し、現在流通しているシリコーン系封止材としては最高レベルを実現した。
同社では、一般照明、車の計器盤やブレーキランプ、液晶ディスプレイのバックライトユニットなど幅広いLED製品向けとして、国内外で販売活動を展開していく。
LEDパッケージ内の封止材は、LEDチップを外部からの衝撃や水分などから保護する役割を担っている。その封止材には耐久性に優れるシリコーン樹脂が多く用いられているが、一般にシリコーン樹脂は水蒸気透過率が高く大気中の水分を透過しやすいという特徴がある。
LEDパッケージをLED製品に加工する際、パッケージを基盤に装着するはんだリフロー工程でセ氏260度前後の高温になる。この際にパッケージ内部に侵入した水分が気化して急激に体積が膨張し、パッケージにひび割れ(クラック)や界面剥離などを生じさせる問題があった。
シリコーン樹脂は硬化する際の架橋反応(主に高分子化学においてポリマー同士を化学結合により、物理的、化学的性質を変化させる反応)の違いによって、硬化速度が速い「付加反応型」と結合力が強く耐久性に優れる「縮合反応型」の2タイプに分かれるが、同社は独自の技術により2つの反応を制御した「デュアル型」を開発した。これにより耐湿性能を高めることに成功した。
JEDECは、半導体部品の分野で規格の標準化などを行っている。